2006年式CBR600RR(Movistarカラー)で広島県三次市から周回してきた内容です。
かれこれ半年以上乗っていないCBR600RR。
ガソリンも劣化するのでたまには乗ることにしている。
年齢を重ねるごとに体勢がキツくなる。
いつまで乗れるだろうか…。
車庫で眠っている愛車に、親父は「そろそろ売れば」と言う。
一目惚れした愛車を売るはずないだろうが。
俺は惚れたら(裏切らない限り)一途なんだよ。
そんなことを考えながら跨ってエンジンを掛ける。
軽く吹け上がって年式の古さを感じさせない。
「君はまだまだ元気だな。」
暖気も兼ねて2006年式の車体を起こしてゆっくりと出発。
思えば色々な場所を巡った愛車。
一番遠かったのは千葉県か…。
往復1800kmの旅。
もう十年以上前だけど、あの時はかなり体がツラかった。
まあ、恩人に逢って楽しく過ごせたことを考えれば何てことはない。
そう言えば、淡路島ではパンクしたな。
今日は近場だけどお互い体慣らしには丁度良い。
君のパワーは有り余ってるかもしれないが、秋晴れの下、のんびり景色でも見て想い出に浸りながら走ろうじゃないか。
工事は無い。
車の流れもスムーズ。
全ての人が当たり前に明日があると思っているかのようだ。
標高が上がるにつれて気温が下がっていく。
尾道松江線の最高地点は標高637m。
肌寒さを感じながら山は少しずつ色を付けていて、冬の訪れがもう直ぐと知らせているようだ。
尾道松江線を降りた三次市のコンビニでしばしの休憩。
「キレイなバイクですね。」
そう話掛けてくれる人もいた。
運転に慣れない頃、コカしてカウルを交換したことを思い出す。
「ありがとうございます。」
お礼を言って立ち去る。
ここからは少し静かな場所を走ろう。
2018年4月1日に廃線となった三江線と江の川沿いのルートに向かう。
6年以上使われていない線路には雑草が生い茂り、生命力を感じる。
長閑な風景が広がり、程よく暖かく走っていて気持ちが良い。
多くのライダーともすれ違う。
皆楽しそうだ。
しばらく走って休憩予定にしていた川沿いの公園に立ち寄る。
川の流れは何事もなかったように穏やかで心が休まる。
十分休息を取ったあと、次のポイント三瓶山へと向かう。
途中にある三江線の旧:潮(うしお)駅辺りは何故か知らないが心魅かれる。
前前前世で住んでいたのかもしれない。
この場所は春にソメイヨシノが咲き乱れていて、舞い上げた花びらをバックミラーで眺めるのが心地良い。
現在、使われなくなった駅自体は朽ちていて物寂しい感じもするが、個人的には好きなエリアになる。
美郷町から三瓶山に向けて急な坂道を駆け上がる。
だが、傾らかなワインディングで路面も荒れていないので走りやすい。
道路脇に並んだ木々のトンネルを抜けて西の原駐車場に立ち寄る。
天気が良く空気が澄んでいて三瓶山はひと際眺めが良い。
こんな日は県外からの観光客も多い。
ランニングする人、登山帰りの人、犬を散歩する人。
ゆっくりとした時間が流れている。
再びバイクに跨り、三瓶山高原道路を走って東の原へ。
三瓶山を周遊する道路は、より一層秋の気配を感じられる。
途中のキャンプ場には多くの家族連れがキャンプをしている。
子供たちにとっては良い経験になるだろう。
東の原に着くとリフトが稼働していた。
三瓶山の中腹からでも中国山脈の雄大な景色が望めるに違いない。
そう言えば、小学生の頃に風景画を描いてちっぽけな賞を貰ったことを思い出した。
絵心は無いが、図工で絵を描く時間は好きだった。
今となっては懐かしい。
日が傾いてきて肌寒さを感じる。
お気に入りの場所だが、あと何回来られるだろうか…。
そんなことを考えながら帰路に着く。
先日知人が亡くなった。
41歳だった。
周りから見ていても幸せな家族。
君が優しく、人柄も良く、仕事も頑張っていたからだろう。
これからやりたい事もたくさんあっただろう…。
あまりにも突然のことで、本人と会うまで信じられなかった。
涙をこらえた。
誰にも聞こえないであろう声を出してお別れした。
人は二度死ぬ。肉体が静まり返るその瞬間、確かに一度目の死が訪れる。
しかし、その人の笑顔や思い出が風化していくとき、私たちはその人を忘れ、二度目の死を迎える。
だが、ご家族と私が生きている限り、二度目の死を迎えることは無いだろう。
私は出来る限り色々な経験をして、話題を作っておくことにする。
盛り上がると良いが、私の行動が奇抜過ぎて引くかもしれんな。
まあ、その時は寛容な心で許してやってくれ。
先に生まれ変わったとしたら、またどこかで巡り逢おう。
くれぐれも避けるなよ。
今までありがとう